【自由大学】文房具にこだわる~硯編~

【自由大学】文房具にこだわる~硯編~

自由大学にて、2日間集中講義「文房具にこだわる~硯編~」(2013年11月3日〜2日目 11月4日)の募集が開始しています。

講義内容

手書きの文字と印刷された文字、そしてディスプレイに表示された文字。同じ言葉だとして伝わり方に違いはあるのだろうか。さらに、思考する段階ではどうだろう。道具によってどんな違いが出るのだろうか。パソコンやスマホなどの発達で、ノートや手帳を持ったりする人が昔より減ったかもしれないが、手書きにこだわる人もまだまだいる。書くという行為は自分の考えを表現するもっとも基本的な行為だ。そして、書くことに欠かせない文房具。よい文房具は私たちの創造性を引き出してくれる。

この講義では、書くことの意味に立ち返りながら、書くことをもっとクリエイティブに楽しむための文房具について探求していく。趣味のいい本に囲まれて思考をしたり、ちょっといい道具で文字を書いたり。そんなふうに粋に文房具を楽しむために、道具についても、あえて日本のルーツに立ち戻ってみる。まず最初にテーマとするのは硯だ。

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硯という言葉自体、耳にするのは学校の書道以来、という人も多いかもしれない。でも硯は列記とした文房具。東洋では文房四宝の一つとされ、とても大事にされてきた。ところが美文字や書道ブームと言われる今でも、硯で墨をする人はほとんどいない。墨汁を使う人がほとんどだ。でも硯で墨をするという行為があってこそ、自分の文字が書けるのではないか。墨をすることには、心を鎮める作用がある。忙しい心が無になる瞬間。静と動。自分で墨をすった後の文字は、墨汁で時間を短縮して書いた文字とはきっと違うはずだ。そして墨の力を引き出すのが硯なのである。

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ところがいま、国産の硯が危機的な状況にある。これまで日本の硯の9割をつくっていた宮城県の雄勝町が、2011年の東北大震災で津波の被害にあい、硯の生産が難しくなってきているという。そこで、自由大学創始者の黒崎輝男を中心に、雄勝硯の復興プロジェクトが立ち上がった。

ただ産業を元に戻すのではなく、文房具という視点に立ち返って、本当によいもので今の暮らしにもあった新しい硯を、雄勝で形にする。道具をつくるだけではなくて、その道具を使う文化を一緒に育てる。だから、硯のことも考えるけれど、筆で文字を書く魅力をみんなで一緒に探り、体験していきたい。美しい文字を習う習字ではなく、自分を解き放つ書道。自分の自由を引き出してくれる道具をみんなでつくろう。

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教授からのメッセージ

文房具に凝ることは、昔から、文人達の趣味でした。
現代でも、万年筆やノートや鉛筆などに少し気を使う優等生はいっぱいいます、消しゴムもなかなかいいものがありますね。最近の筆で文字を書く、書道ブームになっても、硯や墨や紙に凝る人は余りいません。それは硯について教えてくれる人が余りいないのと、墨を永い時間かけてすることをしなくなって、墨液を使うことが多くなったからだと思います。しかし、心を清め、墨のいい香りを嗅ぎながら墨をすって、その墨汁で文字を書く、という経験をすると、すっかりその虜になるものです。そこで硯まで行く為に、文具全般、そして、文字を書くことの意味を考えながら、硯について學んで行きましょう。書家から、硯のことを一生の仕事にしている、坂田先生、そして、教養としての文具の嗜み、アートと筆、硯の善し悪しなどを東京画廊の山本豊津さんから講義をしていただきましょう。

実際に雄勝を訪れる「雄勝硯ツーリズム」も開催

講義終了後の11月23日(土)~24日(日)には、実際に現地に行く雄勝硯ツーリズムを開催。硯がつくられる工房を見たり、硯職人にお話を伺ったりします。ものづくりの現場にはどんなインスピレーションがあるのか。それを筆文字にしてみるのも面白いかもしれません。
> 雄勝硯ツーリズムの詳細はこちら

詳細・参加申込は以下より↓
https://freedom-univ.com/lecture/suzuri.html

2013.9.30(月)